Purity〜忘れかけていた物語〜 第1話

 

 55日(木)

俺は近くのスーパーにいた。

言うまでも無いが、晩飯のためだ。

俺の父親が仕事で上京し、母親もついていった。

俺は、学校も後1年だし、もう高2だと無理矢理言いくるめて、一人暮らしをしている。

いや、実際に一人の方が気楽でいいのだが……

ただ、めんどくさいのはやはり、掃除・料理・洗濯だ。

これに関して親がいないことを愚痴ってる数が多いのは、多分気のせいじゃないだろう…

そりゃ、やっぱりめんどくさいから。

学業を終えたら、家事…

これはやってみた人じゃないとわからないだろうな……

と、家事について一人ぼやきながら店内で買うべきものを探していた。

 

翔夜「あとは……あ〜、ネギも買っておくんだった…」

会計を済ませた後に気付く。

めんどくさいから買わなくてもいいか、とも思ったが、珍しくレジが空いていたので、野菜売り場に向かった。

 

翔夜「あとは、買い忘れ、無いよな…」

ネギを買い、買い忘れが無いか確かめると、店を出る。

 

帰り道、大通りと細い道。

俺はいつもの通り、細い道を通る。

大通りの方が近いが、そっちを通ると信号で余計に時間がかかってしまうからだ。

 

外はもうかなり暗くなっていた。

俺は晩飯に何を作るかをボー…っと考えていた。

翔夜「……今日は炒め物にするか…」

などとまるで主婦のような事を言って、ふと前に視線を戻そうとした途端…

 

ドンッ!

 

人とおもいっきりぶつかった。

翔夜「っわっ!」

少女「ッ!」

衝撃で俺は危うく転びそうになったが、後ろの塀に手をつき、それは免れた。

しかし、ぶつかった相手の少女はおもいっきり尻餅をついたらしい…

少女「痛……」

翔夜「大丈夫ですか?」

少女「……ぁ、はい……」

少女は翔夜が通っている湖ノ瀬高校の制服のほこりをはらっている間に俺はふと気付きその少女に声をかけた

翔夜「あのぉ〜…」

少女が振り向く

翔夜「部活の活動時間、今日はどの部も午前になっていたはずですが?」

実際にはどうでもいいが、ふと気になったので聞いた。

それに少女は答える

少女「わ、私は転校手続きをしに…」

翔夜「転校手続き?と、言う事は転校生、ですか?」

少女「えぇ、あ、でもまだ転校生にはなってませんよ?」

翔夜「そうですね」

そういってかるく笑ってみせた

翔夜「あ、そうそう。俺は二年の大槻翔夜です。よろしく」

冴「二年生の樋野冴です。」

そうして挨拶を交わしたあと、冴の目が若干下向きなのに気付き、「どうかしたの?」と、声をかける。

 

すると冴は……「ごめんなさい!片付けるの手伝いますっ!」

 

何の事かわからない翔夜があたりを見回すと、何の事か気付いた。

そして、少しの沈黙

 

後ろには俺が買った食糧の袋が破け、散乱していた……

そして数分。なんとか、散乱した荷物を拾い集め、例を言うと、二人は別れた。

 

俺は家に辿り着き、包装が破れ、破棄せざるをえなくなったものを見分け、処分しながら考えていた…

 

翔夜(あの子、どこかでみたような……?)

  「いや、気のせいか」

思った事の半分だけを口にしながら手を動かす。

翔夜「…でも、どっかで……

   まぁ、いいや。転校してくるらしいし、聞いてみよ…」

そう言って、考えを中断し、夕食の準備に取り掛かった……