D.C.ダ・カーポ 自分を変える未来
「第九話・寝坊した日には」
「自宅・自室」
――ピピピピピ
「・・・・・・眠い」
――カチ
「・・・・・・・・・」
目覚ましのスイッチを、無意識で消してしまった。
「ああぁぁ、お休み〜」
そして、再度布団の中へ。
――たっぷり40分後
「今日は、目覚まし鳴らないな〜」
達彦は、目覚ましを手にとって見た。
現在時刻8:19分
「・・・・・・・・・」
何かの間違いだと思い再度確認。
現在時刻8:19分
「・・・・・・・・・」
やはり8時12分を時計は指している。
一時思考が止まった。
「やっぱり、8時って出てるよな」
「分は・・・・・・・・・どうみても19って出るなー」
「俺って実は、かなりやばい?」
いったい誰に聞いてるのか不明だが少しは頭が回るようになってきたらしい。
「なにぃぃぃ、寝過ごしたーーー!!」
やっと覚醒した達彦は、事の重大さに気付き慌てて準備をしたのだった。
果たして、間に合うのだろうか。
はたまた、遅刻か・・・・・・
「桜並木」
「間に合えぇぇ」
叫びながら、全力疾走で桜並木を走っている達彦であった。
前方に、見慣れた人を発見した。
「くあっ、かったる」
走って追いつくと、いきなり独り言が聞こえた。
「よう、朝倉」
「あ、南かいつからいた」
「今追いついた所だ」
「南がこんな時間とは、珍しいな」
「まあ、色々あってな」
何もないのだが、何となくそう言っておくことにした。
「それより、朝倉はいつもこの時間か?」
「今日は、特別に遅い」
「その敗因は?」
「やっぱり、深夜映画を最後まで観てしまったのが敗因か」
「途中で録画して、さっさと寝れば良かったのでは?」
「それは、今気が付いた」
「後の祭りだな」
朝倉が、時計を見た。
「やばい、完全に遅刻っぽいぞ」
そう言ってから、朝倉が加速した。
それに、追いつくように自分も加速した。
「ぜえっ、ぜえっ、もうダメだ」
「朝倉走るの結構速いんだな」
「な、何で、南は涼しい顔してるんだ?」
「これくらいじゃな〜」
走りながら、話していると校門だ見えてきた。
「ぬおおっ! 間に合え!」
さらに、朝倉が加速したが。
「・・・・・・なッ」
朝倉が何かを発見した。
朝倉の目線の先には、白い物体が。
猫や犬なら朝倉も気に留めなかっただろう。
だが、そこにいたのは……ヤギだった。
朝倉は、そのヤギと見つめ合っていた。
ヤギ!!なぜここにヤギが。
――ドスンっ!
ヤギに気を取られていたら、横でぶつかる音がした。
見ると朝倉が背中を押されたのか転倒していた。
「のわあッ!」
「あわわわわ〜〜〜ッ!」
「だ、誰だ? 朝からタックルかます奴は……」
朝倉が、砂埃を払いなが起き上がった。
どうも、朝倉にぶつかったのは女の子らしかった。
女の子は四つんばいになって、あたふたしながら地面をまさぐっている。
「め、めがね、めがね……」
どうも、女の子はめがねを探しているようだった。
「悪りぃ、ケガはない?」
「だ、大丈夫です。でも、眼鏡が……」
女の子の近くに、眼鏡は落ちていた。
「この眼鏡で良いのかな?」
女の子は、メガネを受け取りながら、ぺこりと頭をさげる。
「どなたか知りませんが、助かりました。ありがとうございます……って」
そして、メガネをかけて、俺達を見た瞬間。
「うひゃおう! お、男の人!」
女の子は、手をばたばたと動かしながら、一歩飛び退く。
「「えっ、えっ!」」
「……って、えぇと、もしかして、さっきわたしがぶつかっちゃった人……?」
「たぶん、俺がそのぶつかっちゃった人、だと思う」
「あっ、わっ、ひゃおう、これは、失礼しました。まったく、ごめんなさい! い、急いで
いたものですから」
「多分、朝倉がよそ見してたのが悪いだけだと思うぞ」
「いや、そうだが、ヤギがいたから」
朝倉の気持ちは、分からなくもない。
そう言えば、さっきのヤギは……。
「ひゃうううう! やーめーてー! それを食べないでーーー!!!」
悲鳴が聞こえる方を見ると、ヤギが発見できた。
さっきの女の子が、ヤギに向かって叫んでいた。
ヤギはと言うと何か食べている様子だった。
見た感じ、紙だと思う。
サイズにして、ぱっと見B4位だろうか。
「おーねーがーいーだーかーらー! 食べないでー! 私の、汗と、涙と、その他いろんなものの結晶をぉぉゥ!」
女の子は、紙を引っ張るが、ヤギは我が物顔で、食べ続けている。
「13枚目だけは、許してぇぇ〜〜〜! そこが一番いいところなのにぃぃ!」
女の子は、必死になってヤギと格闘している。
女の子を、見る限り相当大事なものなんだろう。
「ラストのページだけは、食べないでぇぇ〜! せっかく、綺麗に描けたんだからぁ!」
必死になって、阻止しようとしているが、このままだとすべて食べられてしまいそうだ。
だが、あのヤギに俺が立ち向かっても、多分勝てないだろう。
なぜかそんな気がする。
すると朝倉がいきなりヤギに向かって。
「おいっ、ヤギッ!」
ヤギは、目だけ朝倉の方に、向けてきた。
「ほら、そんな紙より、こっちの方がうまいぞ」
朝倉の手の中には、和菓子が載っていて、その和菓子を、ヤギの方に投げた。
なるほど、えさで気をそらす作戦か。
朝倉は、いったい何処から出しているのか、色々な種類の和菓子を出していた。
「もっとほしけりゃ、もっとやるぞ!」
だが、ヤギは、和菓子を気にせず、紙を食べ続けていた。
そして――
最後の一枚まで食べきって背を向けてその場を立ち去っていった。
「あうあうあ〜、わ〜た〜し〜の〜愛の結晶があ〜〜〜。ヤギのエサを作るために、徹夜したんじゃないのにぃ〜〜〜」
女の子は、その場でがっくりとうなだれ、半ばコントのように『よよよよよ〜』と号泣する。
「え、えーと。今ヤギに何か食べられたみたいだけど……」
朝倉の呼びかけに、放心状態で何とかこくりと頷く。
「大切なモノだったとか」
女の子は、更に頷き、ぼそりと、
「激烈大事なものでした……」
推測すると、女の子が朝倉とぶつかった拍子に紙束を落としてしまった。
「よよよよよ〜、またしばらく徹夜だぁ〜」
何と励ましたら良いのか分からない。
「ほ、ほら、そんなに泣くなよ。なっ?」
「良かったら、ハンカチ使って」
そう言って、女の子にハンカチを渡した。
そうすると、うるうるした瞳で俺達を見上げた。
すると、学園の方からチャイムの音が聞こえてきた。
「ほら、このままじゃ遅刻するぜ?」
朝倉が呼びかけるが女の子は、その場でへたりこんだままだった。
「ううう……どうしてこんなことに」
女の子は、朝倉を見上げる。
「悪ぃな。助けてやれなくて」
「いいえ、あなたは悪くないです。……でもあのお菓子は、どこから?」
「そうそう、俺が見てた感じ手から出てたっぽいけど」
女の子も頷いている。
「実は、俺は手から和菓子を生み出す力を持っているんだ」
聞いた瞬間朝倉は、大丈夫か思ってしまった。
だが、朝倉は手のひらからおはぎを作って見せてきた。
「……二人とも悪いけど、このことは誰にも言わないでくれないか?」
「「……?」」
「よし、もしさっきあのヤギに食べられたモノってやり直しが出来る?」
「はい……、さっきの原稿……げふげふん、今の書類は、書き直せば……」
「じゃあ、俺は、秘密を黙っててもらう代わりにその手伝いをするよ」
「べ、別に、交換条件にしなくても……あたしは言いませんよ。安心してください」
「でも、今回の事は俺がよそ見してたのが原因だからやっぱり手伝うよ」
「本当に手伝ってもらえるんですか?」
「約束する。だから、そろそろ立ってくれ。このままじゃ遅刻する」
遅刻ギリギリの時間になっていた。
それから3人で校舎に走っていった。
「廊下」
「どうやら、間に合いそうだ……」
「マジにやばかったな」
「それで、まだ名前聞いてないんだけど」
「彩珠です。さいたまななこです」
「彩る珠で、さいたま、ね。俺はてっきり、埼玉県の……」
「ななこでいいです! あたしの事は、な・な・こ、と呼んでください!」
「「は、はい……」
二人とも迫力に押される感じで頷いていた。
「あたし苗字で呼ばれるの、苦手なんです」
「でも、呼び捨てにするのは抵抗が……」
「普段からそう呼ばれてるから……」
「その方がいいって言うなら、俺は構わないけどさ」
「出来るだけ善処する」
「あ、そうだ、俺は1組の朝倉純一」
「同じく1組の南達彦」
「朝倉くんと南くんですか。私は3組なので、この先です」
「それでは、また。どうもありがとうございました」
ななこさんとは廊下で別れて、それぞれの教室に飛び込んだ。
担任の暦先生が現れたのはそれから30秒後だったりする。
かなり、危ないところだった。
あとがき
ユエ:どうも〜第九話でした〜
ユエ:今回は、かなり長いし、ゲームそのままの部分が多かったりダメですね〜
ユエ:ホント駄々ですよ。
ユエ:やっとキャラクターがちらほら出てきましたね。
ユエ:最初は十話で全員が目標だったのに。
ユエ:ダメですね〜
ユエ:書くのが遅いですけど見捨てないで見てやってください。
ユエ:それでは10話でまた会いましょう。
キャラクター紹介(ネタばれあり)
彩珠ななこ(さいたまななこ)
3組の生徒。
漫画大好き少女。実は、エンゼルマフィンの作者である
クラスでは存在が薄いらしい。
出来るだけ目立たないようにしているからかもしれないけど。
「め、めがね、めがね……」